メッセージ(秋本会長)

この度、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)会長を拝命しました秋本修治で
ございます。菅野直前会長から引き継ぎ、8代目の会長となります。おかげさまで当協
会の会員数は順調に増え続け、昨年末時点で、国内外、個人・法人を合わせ、1,850会員となりました。当協会は来年設立20周年を迎えますが、これは我が国の消費者に
スペシャルティコーヒーとそれを楽しむ文化が着実に根付きつつある証であり、会員の
皆様のご支援と関係者のご努力に心より感謝申し上げます。
 新型コロナにより世界は激変しました。コーヒー業界も気候変動により原料コーヒー
豆の長期的安定的な供給が不安視されています。また、原料価格の上昇に加え、原油価
格の高騰により輸送費も大幅に増大しています。さらに円安基調で低迷する日本経済で
一般的な日本のコーヒー業界においては小売価格への更なる転嫁が難しいため、安価な
原料を調達せざるを得なくなり、その結果相対的に品質の低下へ向かうのではないかと
憂慮しております。
 このような、先行きの不透明な混沌とした状況において、当協会はいかに活動してい
くべきでしょうか。私は、私たちが定めるスペシャルティコーヒーの定義「消費者が美
味しいと評価して満足するコーヒー」を今一度噛みしめ、この定義を深く掘り下げてい
けるような活動、すなわち、このような時期であるからこそ、私たちの原点に立ち返る
活動を目指したいと考えております。

「美味しいコーヒー」を議論する上での共通基盤である「カッピング」のさらなる普及とレベル向上を最優先に取り組みたいと思います。このことを通じ、我が国のスペシャルティコーヒー産業に関わる皆さんに、品質に応じた適正な価格で原料豆を購入する能力を一層磨いていただきたく存じます。

 また、地球環境との関わりが大きいコーヒー産業の一翼を担う者として、SDGsを意識した活動にも力を入れてまいります。ご存じのように、特にスペシャルティコーヒーの生産者は、早くから環境保護や児童労働禁止などに取り組んでおり、このような生産者の良きパートナーであるべき私たちも、できるところから始めていきたいと考えます。

当協会の活動に目を向けたとき、女性の登用・活躍が未だ必ずしも十分ではないと感じますので、ここから着手してまいります。

遠隔地の会員の皆さんにも活動に参加してもらえるよう、ウェビナーやオンラインミーティングをより積極的に活用し、情報発信と相互交流の機会を増やしてまいります。

今年度は、コロナや世界情勢の動向にもよりますが、元通りのフルスペックの活動を行えるよう準備を進めており、フェイストゥフェイスの交流の機会も可能な限り提供できればと期待しております。

 当協会の各種活動を発展的に継続することが、スペシャルティコーヒーと出会い、私たちのコミュニティに参加する人を増やし、このことがスペシャルティコーヒー業界の一層の隆盛につながると信じ、微力ではございますが精一杯務めてまいります。

 現在、当協会の最大年次イベントである展示会「SCAJワールドスペシャルティコーヒーカンファレンスアンドエキシビション2022」を10月に開催すべく、準備が進んでおります。世界情勢は予断を許しませんが、今年は”Come Join the Specialty Coffee Community”をテーマに、生産国からの参加を含め、コロナ前の規模と内容で行う計画です。多数の皆さんがご参加・ご来場されることを願っております。

 最後になりましたが、会員の皆さんには、引き続き当協会の活動にご支援ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会
会長 秋本 修治